ALICE'S THE LABYRINTH
迷宮の国のアリス
Fantasy Dining
dining restaurant
photo:ナカサ&パートナーズ
この店はルイス・キャロル原作の童話『Alice's Adventures in Wonder land』をモチーフにしたテーマレストランであり、銀座中央通りに面した1フロア50坪ほどのビルの5階にある。もともとは事務所ビルだったのだが、現在は9フロアすべてに飲食店舗が入り、1機しかない小さなエレベーターはいつもフル稼動している。こんな光景は日本以外で見たことがないなとよく思う(飲食店舗は普通、先進国でも1階にしかありません)。看板は通りすがりの人のためにはなく、まっすぐここを目指して来る人への補足案内でしかない。そんな日本の飲食店舗の世界でも、ここは特に何階であろうと、まったく関係ないと言えるくらい、メニュー、インテリアほか、すべての要素をテーマに合わせることで一つの世界を強く打ち出している。 長くクランクしたアプローチ通路は、迷宮であることを表現し、主人公のドレスの色を連想させるブルーのカーテンにより、キャッシャー、トイレ、個室客席の動線を1本に集約することで、客席面積を増やした。ガラスで仕切られた個室は、有名な劇中エピソードであるティーパーティーの様子を影絵風にデザインしたものを繰り返し増幅させたグラフィックシートで、レース編みパターンのように見せている。これは、ディズニーアニメのアリスではない、原作の少し奇妙でおどろおどろしい世界観を表しており、ウエートレスの制服までも、ゴシックロリータ的にアレンジされている。黒をテーマカラーにしているのは、狭い店内に盛り込んだ多くの要素(中でも制服のブルーを)を目立たせつつ、圧迫感を減らす工夫でもある。これはかなり低い天高を少しでも感じなくさせるために、梁を波形にうねる天井で隠したことにも呼応する。
「ファンタジー ダイニング 迷宮の国のアリス」データ 所在地:東京都中央区銀座8丁目8-5 太陽ビル5階
設計/ファンタスティックデザインワークス 鈴木克典 梅沢賀子 協力/花形照明 ディップアーティスト 飯田祥也 施工/大信工芸 撮影/ナカサ&パートナーズ
工事種別:内装のみ 全面改装
床面積:170.71�(うち厨房28.65�)
工期:2003年7月7日?8月6日
施工協力:家具/PPMコーポレーション ファブリック/キミコーポレーション
主な仕上げ材料
床:モルタル下地大理石(アラベスカート)貼り カーペット敷き ・幅木:木板h50塗りつぶし
壁:PB下地EP グラフィックシート貼り 既存の上モルタルコテパターン仕上げシルバー塗装 強化クリアガラスの上グラフィックシート貼り 特注色別ビロードカーテン吊り ファーボールタッセルカーテン吊り アンティークミラー額装
天井:LGS組みPB下地グレーペンミラーガラス貼り LGS組み曲面用PB下地全ツヤ塗装仕上げ LGS組みコンパネ下地人工芝カーペット貼り ・家具:チェア/ファー張り ファーボール取り付け