SORA TOGETSUSO KINRYU DiningRoom KUMONONIWA
宙SORA 渡月荘金龍 食事処雲の庭
DiningRoom
dining restaurant
photo:ナカサ&パートナーズ
浮遊するインテリアのデザイン
修善寺にある「宙 SORA 渡月荘金龍」の食事処の増築として「雲の庭/kumo no niwa」はデザインされた。
一辺13.7mの正方形の平面を持つこの立体は、地上7mを浮遊しているかのように見えるガラスの箱で、既存の食事処(99年5月号)や厨房との動線を考えて同じフロアに接して計画するとともに、エントランスの車寄せの屋根の役割も果たしている。基本的に厨房に接する面以外は3方向に開き、周囲に回廊を設け、道路側からの視線(プライバシー)を制御している。また、それぞれの山側に開かれた借景を確保する客室とその内側には、下界とは隔離された大広間をレイアウトした。外部と接するガラスと光の箱、千本格子をモチーフにしたシルクスクリーンの幕、吉野杉の間伐材をスライスして貼り込んだ光り壁、幾重にも重なる光のレイヤーに囲まれた空間は、入れ子細工のように重なりながら内側へ向けて重力を軽減させる。また、中央に位置し、ロケーションと接しない大広間は、建築の屋根形状(HPシェル工法)をそのまま天井の形状に利用している大空間である。あえて色温度の高いLEDを使用した照明環境とし、月明かりを模したイメージでロケーションを取り込んでいる。下方より発光させたカラーガラスの壁にプリントされているのは、江戸唐紙の紋様(すすき)をデフォルメしたデザインで、抽象的にススキの原をイメージしている。このデザインは既存の建築とのつなぎ目であるエキスパンションジョイントの目隠しとして、エントランスサインとして、レーザーカットされたファブリックのタペストリーとしても利用している。
私たちをこの地につなぎ止める重力、この重力からさえも解き放たれる自由な時間をつくるのはデザインの力かもしれない。想像の中で人は、時間を自由に行き来することができる。普段と違う時間軸に“雲の庭”はある。
「宙 SORA 渡月荘金龍 食事処 雲の庭」データ
静岡県伊豆市修善寺3455
設計/内装 辻村久信デザイン事務所+ムーンバランス 辻村久信
建築 富永 譲+フォルムシステム設計研究所
協力/照明計画 ウシオスペックス 松下電工
施工/竹中工務店
撮影/ナカサ&パートナーズ
工事種別:内外装 新築
床面積:290.71?(厨房は別棟)
工期:2005年9月?2006年7月
屋根:コンクリート打ち放し(シェル構造) 銅金 平パネルルーフF型
外装:アルミカーテンウオール(昭和綱機)
床:回廊/豆砂利樹脂舗装(アーバンセレクト5544 /ヤブ原産業) 個室/カーペット貼り(ナイア ガラジェット/セルコンテクノス) 中央個室/ 磁器質タイル598角貼り(メランジェ/平田タイ ル)
幅木:アルミLアングル
壁:回廊/PBt12.5下地AEP 個室/フロートガラ スt12 特注吉野杉シート(productsKO) 中央個 室/フロートガラスt12 ススキ柄特注グラフィッ クシート+飛散防止フィルム貼り(ミルキーミル キー/住友3M)
天井:回廊/木ルーバー(スプルース材)12×40@40 ウレタンCL塗装 個室/LGS組みPBt9.5二重貼 り下地AEP