和食材鉄板劇場 まぐれ
MAGURE

dining, japanese dining

category:ダイニングレストラン
dining restaurant
 和食店
japanese dining

photo:大瀧 格
 扇状に配置された客席

東京都港区白金1丁目の交差点に位置するこの店は、旬の和食材を使用した創作鉄板焼きメニューを提供するカジュアルな店として計画された。設計に際し、次のような条件を設定し、それをクリアするための解法として、空間デザインを行った。

条件1:ランチ&ディナーの商品内容と単価差による昼夜変化に順応すること。

デザイン1:横格子のディテールを既存開口に障子デザインとして写し、昼は外光を取り入れ、夜は通りから店内の気配を感じられ、店内からはスリット越しに夜の気配を感じられるようデザインした。

条件2:店舗面積53?の中に、カウンター10席、個室席を20席確保する。同時に、3名体勢での全席管理が容易で、客の注文にも即座に応じられること。

デザイン2:キッチンは、鉄板を中心に左右一杯まで伸ばし、仕事の流れを考慮し機能を一列に配置した。鉄板焼き(=舞台)を10席のカウンター(=かぶり付き席)が無駄なく取り巻く。焼き手を空間芯とし、入退店管理を兼ねた入り口ホールを挟み、横格子の膜で覆われた個室(桟敷席)を4カ所配置。桟敷席は200mmと400mmの上がりに。焼き方からは客席管理を、客席からは調理風景を見ながら注文が出来る構成とし、店側と客席側とのラフなやり取りを可能にした。空間コンセプトは扇型劇場とした。

条件3:カジュアルな単価でありながらも和食材へのこだわりを表現する。投資金額と収支の条件から、ローコストの独創的なデザインとすること。

デザイン3:表情豊かな木材は、国産のスギとヒノキで構成し、手仕事の気配が残るよう意図した。材木・厨房機器・建具などは直接買い付け、造作や家具、照明器具に至るまでを現場での大工仕事とし、通常の25%以上のコストダウンを可能にした。ローコストが至上ではなく、素朴な天然材の手づくり感が、磨くほどに気配を醸し出し、時間軸を刻み、魂を宿すという空間の在り様に美徳を見いだすことを意図した。

質素が完結度を高め、豊かな独創を耕作するという美意識の元、経営者とデザイン側の緻密なコラボレーションにより、人・商品・空間が、三位一体化した店舗となった。

「和食材鉄板劇場 まぐれ」データ

設計/吉柳満アトリエ 吉柳  満 山下充彦
施工/加賀田組 東京支店
撮影/大瀧 
工事種別◎内装のみ 全面改装
床面積◎53?(うち厨房15?)

施工協力◎木材/藏原木材 厨房機器/エピック キッチン・ズー事業部 大工/東澤富雄 建具/渡辺建設

主な仕上げ材料

照明器具・空調器具造作◎スギ材t15w30@35ルーバー組み
床◎ヒノキ板貼り

壁◎スギ材t15w110@35横格子組み PB下地ダークミラー貼り
天井◎EP(ツヤ消し黒)
カウンター上部造作◎瓦ボーダータイル貼り スギ材15@35格子枠+障子貼り