Dining Bar Miyama
美山

dining


category:ダイニングレストラン
dining restaurant
 和食店
japanese dining
 バー、クラブ
bar, club

photo:石井紀久 Toshihisa Ishii

ダイニングバー「美山」は、飲食店が集積するエリアの一角に位置している。 オーナーが会社勤めをしている頃から目標にしていた飲食店への初チャレンジの店舗である。オーナーが長年温めていた思いを具現化すべく計画は進められ、環境面においては「女性客が一人でも立ち寄れるような雰囲気」をテーマに計画の推進を行うこととなった。 事前の打合せの中で要望されていた“客席数”“厨房設備”を前提に、契約されていたテナントの現地調査を行ったが、そのあまりの狭さに難易度の高さを感じてしまった。ごく一般的なカウンターバック、従業員動線、台下設備、カウンター、そして客席に客動線を足し合わせただけで、間口が足りないのである。また、テーブル席は欲しいが運営人数の問題で、テーブル展開は難しい状況であった。 マイナス要因を含めた様々な条件をクリアする計画として、先述した基本構成における縦断するカウンターと客席以外の要素を、ミニマムに削ぎ落とすことによって成立するR形状のカウンターを店の中心に据えた。また、先のテーマを受けて、開放感を持ちながらも、落ち着くことのできる見え隠れするような空間構成を試みた。具体的には、カウンターと同心円状に平行する客席のバックスクリーンを意匠上の拠りどころとして、店内全体を縦断させファサード部分にまで張り出す構成とした。また、テナントの条件上、ファサードに張り出したR壁と隣のテナントとの境界となる提灯を提げた格子スクリーンは、閉店時にはシャッター内に納まる構造とした。入口となる扉は、センター回転の一枚ガラス扉にする事により店の内外の境界を曖昧にしている。結果として、様々な工夫の積み上げにより、コンパクトながらも店全体に開放感のある広がりを与えることができたと考えている。
 
【Dining Bar Miyama / 美山】

・27.5?(14席)

(商店建築2006年8月号掲載店舗)