鎮守の森 もうもう工房 レストラン
Chinjunomori MOUMOU-KOBO Restaurant
restaurant
dining restaurant カジュアルレストラン
casual restaurant
photo:佐藤振一
独創的な環境キャラクターづくり
「鎮守の森 もうもう工房」は岡山の県北に位置する湯郷温泉の郊外,中国自動車道・美作インターの導入路の一画に位置し,郊外型の商業環境の中に計画された。本来価値を持つエンターテインメントを“癒し”と解釈した独創環境(人・物・空間)を提案することが基礎理念である。その理念に基づきさまざまなコンセプトが検討された。?食材を生産流通できるホクラク農業組合から直接仕入れることが可能なことから,近い将来,数点の直営店を出店予定している。そのための独創的な環境キャラクターづくり。?昼間は団体客,夜は地元客(人口1万2000人)に対する“おもてなし環境”が,コミュニティーという共通コンセプトを持ちながらさまざまな商業機能に対応できること。?施設は不動産としても収益機能を持つ空間構成とし,人・商品の循環による経年変化にも対応できること。?屋台理念の一つである,極小商空間の自立とコミュニティーの空間提供によって,客同士だけでなく,店側と客との緊密なノリや気配をつくり出すこと。?これらのソフト面での定義によって華美なハードを根本的に抹消しながらスケルトン(骨格美)の精神完結性へ向かうことによって必然的に投資コストがローコスト化すること,などである。これらのコンセプトに基づき,一つの手法として既製のヒューム管を使用した個室群をデザインし,さらにソフト面を満足させた上で独創環境をつくり出すことを意図した。将来この商環境での多店舗展開,それに伴うコスト面の検討,さらに自由な造形への可能性を考慮し,この空間をGRC製とし,原型を製作する方法を採用した。軽量化され,工場製作されるこのスケルトンは,一部内装仕上げも施され現場に設置された。またデザインされた屋根部分も工場で製作され,このシリンダーに取り付けられた。同一部品が多く,工場製作でプレハブ化することによって生じる“生の気配”の欠落は,デザインプロセスにおける総体的(ソフトとハードの創造性と現実の運営現場の気配)な体験や,工場製作の現場からも表現と技術面から創り出す人によって,十分補われる可能性を見つけだすことができた。また二点の石彫刻と建築造形との止揚関係が,各空間内部へも直接的に展開リズムを持つよう計画した。
「鎮守の森 もうもう工房 レストラン」 データ
プロデュース/K’s 空
主な仕上げ材料
屋根:中央棟/コンクリート金ゴテ下地断熱アスファルト防水の上砂利敷き 円形客席棟/軽鉄組みコンパネt9の上カラー鋼板葺き