板前寿司 江戸/ITAMAE SUSHI EDO

寿司/SUSHI






category:和食店
japanese dining
 ダイニングレストラン
dining restaurant
 カジュアルレストラン
casual restaurant

photo:石橋マサヒロ

○歌舞伎の桟敷席をモチーフに客席を展開

国内外で寿司業態を展開する「板前寿司」の新店である。既存店との差別化も含め、今回はインバウンドに的を絞った新業態である「板前寿司 江戸」を計画した。
店名の通り、“江戸”をテーマとした空間の最大の特徴は、歌舞伎の桟敷席から着想を得た客室レイアウトである。寿司のネタ箱がずらりと並ぶカウンター席に向かって、フロアレベルを階段状に順に下げる“劇場型”の構成とした。カウンター席、堀ごたつ席、ブース席と、客席をシーン分けしながらも、それぞれおいての居心地と目線を考慮し、細かくレベル差を設定している。
仕上げやディスプレイは、障子や畳、金襴織の張り地、カウンター上の提灯櫓とそれを囲む提灯の一群など、外国人客に分かりやすい“和”のアイテムを展開。天井と壁面の掘り込みは、“酒枡”をモチーフに、実際に本物の酒枡も使用している。具体的なには、木枡は有機的に組み上げパーティションに、黒赤の塗り枡はワンポイントに配置した丸ブース席の腰壁とした。
 一方、ファサードとエントランスは白木で構成し、客室と対比させた空間としている。ここでは、入店後に靴を預け階段を上がると、歌川広重の日本画から具現化した江戸の寿司屋台が出迎える。記念撮影の場としてあらかじめ計画したスポットだ。
日本食の代表“SUSHI”を求め来店し、静かな期待感を抱きつつエントランスを抜けると、一気に開けた和の非日常空間が現れる。そこで驚きの声が漏れるような、そんなフォトジェニックな店舗に仕上がったのではないだろうか。    
鈴木麻紗子


「板前寿司 江戸」データ

設計/兼城祐作+造形集団 兼城祐作 鈴木麻紗子
床面積/144

施工年/2016