BlueHotel NAGI
ブルーホテル凪

hotel




category:ホテル、旅館
hotel

photo:安達 治

五感で感じる憩いの場

新たなものがつくられる時、そこにはテクノロジーの存在があり、人々により多くの“快適な機能”をもたらしてきた。しかし、今の世の中を動かすモチベーションは、テクノロジーから人の感覚へ移行しつつある。肌触りや風合い、音、香りを通じて、人の五感にさまざまなアプローチをすることで、眠れる感覚を呼び覚まし、心地良さや安らぎを与えることをコンセプトとした。

このホテルは、国道5号線の海沿いの張碓町にある。人口の少ないこの町は、ほとんどの人にとって札幌と小樽の通過点になる。しかし、立ち止まってみると、街の雑踏から解放され、自然に囲まれた豊かな所であり、安らぎを求めるには、絶好の場と言える。

つくられたものではなく、“自然の佇まい”をテーマに、周りの環境と建物が調和するよう考慮した。外観には、石や木を使用して、自然の景色を表現。エントランスを通り抜けると、床一面に敷き詰められた那智石が、歩く感触を楽しませる。手で触れる壁には、スタッコを吹き付け、全体を優しく包み込む。また、何本も組み合わせたスチールのパイプが、そびえ立つ木々のように、穏やかな海面の波をイメージした2階の天井まで伸びていく。その傍らにある待合は、無数に下がる木々によって動線が消され、樹海をさまようような感覚をもたらす。

一つひとつが、天然素材であり、いつかどこかで見たような風景の部屋に五感が刺激され、生まれながらにして持ちうる感覚が呼び覚まされる。

日々の慌しさや忙しさから離れ、自然の中でひとときの休息を味わう、そして心のエネルギーをチャージしてもらう場としてのホテルを目指した。   

 

 

「ブルーホテル 凪」データ

北海道小樽市張碓町495-2

設計/アトリエテンマ 長谷川  演 建築 アトリエ K

協力/照明計画 イリス

施工/タクト 建築 原田建設工業

撮影/安達  治

 

工事種別:新築 内外装
 

用途地域地区:準工業地域
 

建ぺい率:制限60%>実効43.24%
 

容積率:制限200%>実効79.66%
 

構造と規模:S造 一部RC造 地下1階地上2階建て
 

敷地面積:3177.24? 建築面積:1373.71?
 

床面積:2530.94?/地下1階103.64? 1階1251.30? 2 階1176.00?
 

工期:2005年6月10日?12月9日
 

施工協力:空調・給排水衛生設備/進興工業 電気設備/ 拓北電業 厨房設備/清水金物店 サイン/日の出工芸


主な仕上げ材料
 

外壁:PB下地ガルバリウム鋼板貼り アルミスパンドレル 貼り
 

外部柱:スレート板下地不燃木板貼り
 

床:白那智玉石洗い出し敷き カーペット敷き 無垢材フ ローリング貼り 大理石貼り 御影石貼り
 

幅木:ナラ材練り付けの上OSCL
 

壁:珪藻土塗装 クロス貼り EP 一部黒板塗装
 

天井:珪藻土塗装 EP
 

家具:天板/スプルス、ナラ無垢材貼り
 

什器:ナラ集成材 ナラ、ローズウット材練り付け
 

照明器具:FRP 麻布